お客さま情報
名古屋市健康福祉局保護課さま
名古屋市の高齢者福祉、障害者福祉、福祉のまちづくり、生活福祉、健康分野のさまざまな施策を所管する「名古屋市健康福祉局」。
その「保護課」では、憲法第25 条の理念に基づき、生活に困っている全ての人たち(注)に、その状況と程度に応じて、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立した生活が送れるよう必要な支援をする「生活保護」に関する業務をしています。
(注)生活保護法は、日本国民を対象としています。ただし、在留資格などの要件を満たす外国籍の方に対しては、生活保護に準ずる取扱いをします。
- WEBサイト:https://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/367-1-0-0-0-0-0-0-0-0.html
- 制作媒体:生活保護制度の説明パンフレット
- 制作期間:約3カ月
お客さまの課題
2022年6月末時点での名古屋市の外国人人口は86,043人。愛知県内の全外国人住民数280,912人に対して、30.6%の外国人が名古屋市に在住していることになります。
※参照>愛知県『愛知県内の市町村における外国人住民数の状況(2022年6月末現在)』
新型コロナウイルスの影響で、外国人住民数の変動は小さくなりましたが、今後は再び増加に転ずることも予想できます。
そして近年、在留外国人が増加するにつれ、生活保護を受給する外国人も増えています。
2022年6月の厚生労働省『被保護者調査』によれば、名古屋市の生活保護者は46,527人、うち日本国籍を有しない保護人員数は3,352人。地域別の外国人生活保護者数ランキングでは東京都、大阪市に次いで全国3位となっています。
このような状況も踏まえ、地域に住む外国人にもわかりやすく生活保護制度を伝える必要がでてきました。
これまで庁舎の窓口では、日本人向けのパンフレットを翻訳したもので外国人にも説明をしていましたが、もっとやさしく、もっと伝わりやすい「外国人向けのパンフレット」を作る必要があると、名古屋市健康福祉局保護課さまは感じていました。
そこでインターネット検索でダンクを知っていただき、やさしい日本語への書き換えおよび、パンフレットの制作をご依頼いただきました。
やさしい日本語書き換えのポイント
今回は、
・『生活保護Q&A』
・『生活保護を 受ける人へ』
・『生活保護のことを 教えます』
という3つのやさしい日本語版冊子を制作しました。
どの冊子も次のポイントを重視し、編集を行いました。
- ① やさしい日本語への書き換え
- ② UDフォントを使用
- ③ 見出しを追加
- ④ ピクトグラム・図解の導入
以下でそれぞれについて詳しく説明します。
ポイント① やさしい日本語への書き換え
- 日本語能力「N4」レベル※の平易な日本語への書き換え
※「日常生活でも基本的な日本語が読めたり、ゆっくりした会話を理解できる」程度の日本語能力
- 一文一義を意識し、情報を細かく端的に伝える
- すべての漢字にルビをふる
<原文>
<やさしい日本語版>
さらに今回は行政関連の難しい用語が多いため、各ページの下部に『言葉の説明』を入れました。
説明がある言葉は本文中ではオレンジ色で表記し、下部の説明に誘導しています。
ポイント② UDフォントを使用
フォントは、(株)モリサワの『UDデジタル教科書体』という、UDフォントを使用しました。
線の太さが均一で、老眼の進んだ高齢の方や、弱視や読み書き障害のある子どもたちにも読みやすいようにと作られたフォントです。
日本語教育の専門家からは「字形が理解しやすく、読みやすく、見やすいUDデジタル教科書体は、日本語を勉強する初級のフォントとしてはちょうど良い」という声も上がっています。
※参照>モリサワ『FONT SWITCH PROJECT』インタビュー
「タイ赴任で外国人になってわかった「文字を読む」むずかしさ、初学習者にUDデジタル教科書体を勧める理由」
ポイント③ 見出しを追加
通常の日本語版のパンフレットでは、文章が続くだけの構成でした。やさしい日本語版では章立てにして再構成し、目次も追加。
各段階でのポイントを明確にし、順序立てて説明することで、情報を理解しやすくしました。
ポイント④ ピクトグラム・図解の導入
文章だけでは理解が難しい箇所は、ピクトグラムや図解を導入しました。
<原本>
<やさしい日本語版>
こうして、やさしい日本語版の生活保護パンフレットが完成しました。
このパンフレットが窓口で活用され、名古屋市の在留外国人の助けになることを期待します。
「やさしい日本語を詳しく知りたい」
といった内容も承っています(無料)
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