災害時に必要な情報を素早く伝える

●災害時に情報弱者になってしまう外国人のために考えられた

やさしい日本語は、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに考案された概念です。

震災で多くの人が犠牲になりましたが、その中には外国人も多くいました。

 

彼らの多くは日本語の理解が十分ではなく、災害情報や避難情報のような重要な情報を正確に受け取ることができませんでした。そのため、被害を受けた人の割合が日本人より多かったのです。

阪神・淡路大震災時における死者・負傷者数(100人当り)
(国際防災の10 年国民会議事務局(財) 都市防災研究所(1995)『阪神淡路大地震における在日外国人被災状況調査』より)

人口100人当り、死者数は日本人が0.15人、外国人は0.27人、

負傷者数は日本人が0.89人、外国人が2.12人と、

外国人は日本人と比較して2倍前後もの被害を受けました。

 

また、被災後も避難場所がわからず、壊れた家に残り続けた人もいたそうです。

こうした経験から、災害時の重要な情報をより多くの人に素早く伝えるために、

やさしい日本語という手段が考え出されたのです。

 

 

●災害時におけるやさしい日本語の例

 

只今、マグニチュード7の地震が観測されました。

津波が発生するおそれがあります。

沿岸部や川沿いにいる人は、

すみやかに高台に避難してください。

 

 

このように言われても、正しく理解し避難できる外国人は多くありません。

 

しかし、

 

 

地震です!

大きい波が くるかもしれません。

すぐに 高い所に にげて!

 

 

と言い換えると、多くの人が理解できます。

 

 

やさしく言い換えることで、

場合によっては詳細な部分が省略されてしまうという面はあります。

これは文章が長くなったり、複雑な説明が必要となることを避けるために、

意図的に行われるものです。

 

ある程度簡略化することで、「高い所に にげて!」という最も重要な情報を、

より多くの人に伝えることができると考えられます。

 

 

●より現実的に、迅速に情報を伝える手段

もちろん外国人にはそれぞれの母語で伝えるのが理想的なのですが、国籍も言語も多様であり、

英語や中国語等のメジャーな言語だけでは到底カバーできません。 

災害時には必要な情報も多く、それら全てを色々な言語に言い換えるのは現実的ではありません。

  

これに対し、外国人でも多くの人が理解できるレベルのやさしい日本語で

必要最低限の情報が伝えられるなら、無理に言語を増やす必要がなくなるのです。